林業収益に影響を与える多数の条件因子を柔軟に扱える単一林分経営シミュレーターを構築し, 収益性確保のために有利な条件や間伐体系・伐期の探索を行った。伐出作業には車両系作業システム, 対象森林は山形県のスギ人工林を想定した。1%といった低い割引率を想定する際は, ほぼ全ての条件下において計算上の上限である110年を伐期とする場合に最も高い収益性を示した。高い割引率においては, 土地期望価が負となって再造林の動機づけが困難となる場合がほとんどであった。間伐体系については, 利用間伐を1回のみ行うのが最適だとした場合が最も多く, 利用間伐3回が最適となる条件は道の開設維持費を含む伐出条件や補助制度が有利な場合に強く限定された。皆伐を避けて利用間伐を多回数繰り返すという現政策で推進されている森林管理方針は, 費用のかかり増しがあるため収益面で有利といえない状況が多いと考えられる。