クヌギ精英樹F1実生採種園の家系内選抜によって得られる改良効果の期待値と実現値について検討した。F1実生採種園は, クヌギ精英樹の自然交配F1実生苗22家系を用いて造成され, 4年次の樹高成長による50%の家系内選抜によって, 3.4%の改良効果が期待された。F2実生採種園は, 自然交配のF2実生苗6家系に改良効果を確認するための対照用F1実生苗6家系を加えて造成され, 5年次の樹高成長を比較した結果, 4.0%の改良効果が確認された。改良効果の期待値と実現値は良く一致し, F2実生家系集団の平均樹高はF1実生集団の平均樹高よりも有意に大きかった。クヌギの育種を行う上で, 実生採種園の家系内選抜による改良方法が有効であることが確認された。