ササ抑制処理がヒノキ天然更新施業に及ぼす効果を検証するために, 長野県三浦実験林の帯状皆伐天然更新試験地における36年間の更新木樹冠とササの被覆の変遷を空中写真を用い経時的に解析した。1969年の伐採終了後, ササ抑制処理が行われなかった対照区では, 伐採直後を除き, ササの衰退がみられなかった。除草剤散布と刈払いによるササ抑制処理を行ったササ処理区では, ササ面積比率の低下が更新初期10年間に計3回あったと推察され, ササ抑制効果の持続期間は3年間程度であったと見積られた。2005年には, 更新木樹冠の面積比率は対照区で約24%, 処理区では70%以上であり, 1979年のササ面積比率との間に負の相関がみられた。2005年における更新林分の上層木密度は, 上層平均樹高が同等の標準的な人工林に対し, 対照区で24%, 処理区で61%に相当した。以上のことから, 天然更新の成績向上に対するササ抑制処理の寄与が示唆された。