効率的なクロマツさし木苗の生産方法を確立するため, 二つの実験を行った。まずさし木発根性に及ぼす穂のサイズの影響を調べるため, 5家系の5∼6年生クロマツ採穂台木各1個体から穂を採取してさし付けた。その結果, 穂が長いほど, また穂の直径が太いほど発根性が低下する傾向があった。次に, 採穂台木の剪定後に得られる萌芽枝数とそのサイズに影響する要因を明らかにするために, 5家系各3個体の4年生クロマツ採穂台木について, 剪定した枝とそこから発生した萌芽枝数とサイズの関係を調べた。その結果, 剪定枝あたりの萌芽枝数は剪定枝上で萌芽枝が発生している部位 (萌芽帯) の長さと剪定枝の直径, 萌芽枝のサイズは剪定枝の直径に強く影響された。また分散分析の結果, 萌芽枝数, 剪定枝の直径および萌芽帯の長さは家系間に有意差があった。これらの結果は家系の選抜により萌芽枝数の改良が可能であることを示唆した。