2004年台風18号により風倒被害を受けた, 北海道美唄市内の防風保安林の風倒要因を解析した。この台風による最大風速は21 m/sであった。調査を行った防風林はヨーロッパトウヒ, カラマツ, シラカンバ, ヤチダモ人工林である。防風林に21箇所の方形区を設定し, 各個体の胸高直径と「根返り」, 「幹折れ」, 「無被害」別の被害状況を記録した。また, 深さ別の土壌の硬さを簡易貫入試験機により測定した。さらに, 樹種別に風倒被害の異なる要因を知るために, 幹を側方に引き, 根返りを発生させる際の最大抵抗モーメントを測定した。数量化2類による解析の結果, カラマツが最も被害を受けやすく, 次いでヨーロッパトウヒ, シラカンバ, ヤチダモの順に風倒被害を受けにくくなった。胸高直径は30 cmをピークに被害を受けやすかった。被害の種類については, カラマツとシラカンバは根返りしやすく, ヨーロッパトウヒは幹折れしやすかった。土壌の硬さは被害にあまり影響していなかった。根返り抵抗モーメントはヤチダモ>シラカンバ≒カラマツ≒ヨーロッパトウヒとなり, 樹高や葉量の違いとともに, 樹種別の風倒被害の違いを引き起こす要因となっていると考えられた。