本研究では, カラマツの風荷重による根返りおよび折損に関する力学的な評価を行うため, 立木の引き倒し試験を北海道十勝管内で実施した。カラマツは, 十勝における主要造林樹種であり, たびたび当地域は台風被害を受けてきた。回転モーメントと傾斜角の関係からは, 最大回転モーメント時の根元の平均傾斜角は 9.7ºで, 比較的小さな傾斜角であった。最大抵抗モーメントと立木の諸因子 (胸高直径 D , 樹高 H , 形状比 H / D , 材積 D 2 H , 枝葉重 W cr, 幹重 W s, 全重 W t) との相関分析の結果, 胸高直径 D は, 根返りおよび幹折れのいずれの場合においても相関が高く, 立木の耐風性を示すもっとも重要な指標となることが示された。今回の結果では, 根返りに関しては, 最大抵抗モーメントは, D の約2.6乗に比例し, 幹折れは D の約3乗に比例して増加した。被害形態に関しては, 直径が細い立木では幹折れが発生し, 太くなると根返りすることが示唆された。