21年生ヒノキ同齢林を対象として帯状伐採を行い, 伐採が林床の微気象因子と植生に及ぼす影響について伐採直後から15カ月間の調査を行った。林床の相対光強度は, 伐採前の0.15から伐採部中央で0.6, 林縁で0.3程度まで上昇した。林床の気温, 飽差, 地温および土壌含水率のうち, 伐採部と林縁における地温の変化が著しかった。伐採直後と15カ月後の樹木種の個体数と被覆面積の測定より, 林床植生の多様度指数 ( H ´) を算出した。伐採部の H ´は伐採直後が最低であり, 15カ月後には林内と同じ程度にまで回復した。林縁部の H ´は調査期間を通して高い値であり, 加えて林内においても H ´は上昇していた。帯状伐採は, 新たに形成される伐採面と林縁部の広さに特徴があり, 林床の微気象や植生への影響を通じ, ヒノキ人工林の生物多様性の維持に有効と考えられた。