森林斜面の濁水ろ過機能を評価するために,落葉と森林土壌を模した透水性のスポンジを用いた水路実験を行った。水路通過によって濁水濃度が減少する割合は,それまでに斜面に蓄積された浮遊土砂の量が増すに従って,ほぼ直線的に減少した。濁水ろ過が地表面と土壌内でそれぞれ起きると考えると,地表面における濁水ろ過機能は,勾配とリターの有無に影響され,流入する土砂濃度や土壌と見なしたスポンジの初期透水係数には影響されなかった。土壌と見なしたスポンジ内での濁水ろ過機能は,リターの有無等の地表の状態には影響されず,スポンジの初期透水係数のみに影響された。地表面においては,リターがある場合の方がない場合に比べて限界捕捉土砂量が2倍近くなったことから,森林斜面の濁水ろ過機能には,土壌のみならずリターも大きな役割を果たしていることが明らかとなった。