DNA塩基配列上の一塩基多型を利用したSNP(single nucleotide polymorphism)分析によるマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツのクローン識別を試みた。まず,maritime pineのEST(expressed sequence tag)塩基配列情報を基に,本研究において新たに設計した2対のPCRプライマーで増幅される2 DNA領域について全16抵抗性クローンの塩基配列を決定した。その結果,これらのDNA領域中に合計20個のSNPが存在することが明らかとなった。このうちから16クローンすべてを識別するのに有効な9サイトを選定し,プライマー伸長法と蛍光法を組み合わせたSNPタイピングを行った。さらに,2対のPCRプライマーによるマルチプレックスPCRと9種類のSNPマーカーのマルチプレックスタイピングによる識別作業の効率化を行った。また,同一クローンで複数ラメートを使用し,再現性について検討したところ,常に安定したSNPタイプが得られ,信頼性のきわめて高いクローン管理が可能となった。