流域全体の水土保全機能向上の方策を示すため,北海道東部の常呂川・網走川流域において作業道をふくむ林相,斜面地形,下層植生が土壌の浸透能に及ぼす影響を調査した。重機が走行する作業道や伐採跡地では,浸透能が低かった。北海道の主要造林樹種であるカラマツ・トドマツ人工林における浸透能は,天然林の値に比べて低い値を示した。また,全下層植生被度が高いほど,浸透能が高い値をとる傾向がみられた。これは,下層植生による土壌粗孔隙の形成等が関与していると考えられる。以上のことから,重機作業による浸透能低下に対する対策を積極的に図ることや,カラマツとトドマツ人工林については適正な密度管理を行うことで落葉広葉樹や下層植生を導入し,根系による粗孔隙形成を促す意義は大きい。