伊勢神宮宮域林は20年ごとに神宮すべてを新造する式年遷宮に対し,木材を自給することを計画している。本研究では,システム収穫表をこの宮域林に適用し,持続可能かつ大径材生産に適した間伐計画を提案することを目的とした。システム収穫表には,Local Yield Table Construction System (LYCS) を使用し,伊勢神宮宮域林育林工程表と紀州地方ひのき林林分収穫表から成長モデルのパラメータを推定した。さらに,そのパラメータを用いたモデルを,35年生から100年生にかけて適用したところ,宮域林の平均樹高,平均胸高直径の成長の推移とよく適合した。これによって,低密度,長伐期施業という宮域林独自の施業体系において,多様な間伐計画に対応した収穫表の調製が可能となった。最後に,優良大径木生産に労働力・コスト削減を考慮に入れた間伐計画を策定し,この計画によって20年ごとの式年遷宮に大径材が持続的に供給可能であることがわかった。