ツキノワグマの糞に飛来する食糞性コガネムシ (以下糞虫) を山梨県芦川村および東京都奥多摩町で調査した。18種が確認された。いずれも広域に分布し, 他の動物の糞でも確認されている種であった。種により季節消長は異なり, 5種は春から秋にかけて成虫が出現したが, 13種は特定の季節のみ成虫の出現が確認された。日周消長は, トラップで採集された10種のうち5種は昼間中心に, 4種は夜間中心に飛来する種, 1種は季節的に活動時間帯が変化する種であった。糞虫の活動場所は, 8種はdwellerで, 糞の表面および糞の内部でのみ確認された。10種はtunnellerで, 糞下部の土壌内からも糞とともに確認された。Tunnellerは, 産卵期以外も, 糞とともに土壌内から確認された。ツキノワグマの糞に数多く飛来した, コブマルエンマコガネ, クロマルエンマコガネ, マエカドコエンマコガネはいずれも, 昼間中心に飛来し, tunnellerタイプの糞虫であった。