北海道石狩低地帯南部の41~51年生のカラマツ人工林において, 林内への広葉樹の侵入過程を明らかにするため, 施業履歴, 林分構造, 広葉樹の樹種構成, 樹齢, 埋土種子の種組成を調べた。広葉樹の密度は, 林床にササが優占する林分で小さく, ササ類は広葉樹の更新に負の影響を与えていると考えられた。広葉樹の更新個体数は, 間伐後に増加する傾向が顕著であり, 間伐は広葉樹の更新契機になっていると考えられた。また広葉樹の樹種数は, 間伐にともなって階段的に増加しており, 特にギャップ種は, 初回の間伐以降に樹種数が増加していた。埋土種子の種構成は, 広葉樹の樹種構成とは類似しておらず, カラマツ人工林内での広葉樹類の更新には, 種子バンクの寄与は小さいと推察されたが, 埋土種子についてはさらなる検討が必要と考えられた。結論として, カラマツ人工林内での広葉樹の更新には, ササが負の影響を与えていること, 間伐は広葉樹の個体数を増加させるだけではなく, 林内の種多様性も高める効果があること, さらに広葉樹の更新時期や樹種構成には更新特性が強く影響することが示唆された。