目的 : 健常若年女性において, 果糖の吸収に影響を与える要因を, 呼気中水素濃度を用いて検討する。 方法 : 日本人健常若年女性17名を被験者とし, 12時間以上の絶食後, 果糖摂取試験を行い, 呼気中水素濃度を15分間隔で180分後まで測定した。試験は, 10%F : 果糖25g/水250mL ( 対照 ), 5%F : 果糖25g/水500mL, 10%F+0. 5hW : 対照+0. 5時間後に飲水250mL, 10%F+1hW : 対照+1時間後に飲水250mLの4回とし, 無作為交差法で実施した。腹部症状の評価にはvisual analogue scaleを用いた。 結果 : 呼気中水素濃度の上昇開始およびピーク時間は4試験でほぼ一致していた。10%F, 10%F+0. 5hW, および10%F+1hW試験では, 呼気中水素濃度は果糖摂取後180分で前値に戻ったが, 5%F試験では戻らなかった。呼気中水素濃度の曲線下増加面積は, 5%F試験が10%F試験よりも大きかった。4試験すべてで腹痛, 腹部膨満感, 腹鳴, ガスの発生, 下痢がみられたが, 症状の強さや発生人数には有意差はみられなかった。 考察 : 4試験すべてにおいて, 果糖飲料摂取後に吸収不良を引き起こしたと推察される。なかでも5%F試験では呼気中水素濃度の顕著な上昇を示し, 果糖濃度を下げても, 同時に摂取する水分量が多くなると果糖の吸収が抑制されることが示唆された。 結論 : 果糖飲料 ( 25g/水500mL ) の急速な摂取は吸収不良を引き起こしやすい。