アクアガス加熱食材の基礎的調理加工特性を明らかにすることを目的に, 枝豆を用いてアクアガス加熱および既存の加熱法(茹でる, 蒸す)について, 加熱時間による物性および色調の変化について実験を行い, 官能検査と併せてアクアガス加熱の優位性について検討した。 結果は次の通りである。 1. アクアガス加熱の枝豆の物性は, 加熱時間の経過と共に硬さおよび歯ごたえの値が小さくなり, 漸次やわらかくなるが, 粘着力および付着性は15分までは漸増するが, その後は減少する傾向が認められた。茹でおよび蒸し加熱の時間経過による物性の変化は, アクアガス加熱とは異なる傾向が認められた。 2. 加熱時の莢の有無は, 7分間加熱における物性値から, 莢無しの方が煮熟の程度が促進されることが明らかになった。 3. 加熱時間の経過に伴う枝豆(種子)の色調の変化は, 加熱法により違いが認められた。a*およびb*値, 彩度はアクアガスおよび蒸し加熱では10分間加熱, 茹で加熱では7分間加熱で有意に変化し, 緑色が退色した。同様に莢の色調は, a*およびb*値, 彩度は各加熱法共, 7分間加熱で有意に変化し, 緑色が退色した。 4. 莢有りで加熱した枝豆(種子)の色調は, 加熱法に違いが認められ, a*およびb*値, 彩度ではアクアガス加熱の値が最も大きく, 鮮緑色であり, アクアガス加熱の優位性が認められた。しかし, 莢無しで加熱した枝豆(種子)の色調には, 顕著な差が認められなかった。 5. 莢有りで加熱後, チルド保存中の枝豆(種子)の色調は, 光照射で保存した場合, 保存日数に伴い退色した。しかし同様に遮光して保存した場合は, 保存日数による変化は些少で, 加熱法による違いも認められなかった。 6. 官能検査の結果は, 3種の加熱法の中でアクアガス加熱の評価が最も高く, アクアガス加熱の優位性が示唆された。枝豆の色調・a*値(青緑色)はアクアガス加熱の値が最も大きく, 蒸し加熱, 茹で加熱の順で官能検査の結果と一致した。また硬さおよび歯ごたえの物性値は官能検査の硬さの評価と一致した。甘みおよび味の総合評価は, アクアガス加熱は茹でおよび蒸し加熱に比べ有意に評価が高かった。