AQG加熱食材の基礎的調理加工特性を明らかにすることを目的に, だいこんを用いて, AQG加熱と既存の加熱法 (茹でる, 蒸す) について実験を行い, 加熱時間, 物性, 色調, 成分量 (総ビタミンC, 遊離アミノ酸) について測定を行い, 官能検査と併せて検討した。 結果は以下のとおりである。 1. 中心温度95°Cになるまでの加熱時間は, AQG加熱, 蒸し加熱, 茹で加熱の順に長くなり, AQG加熱は試料中心部の温度上昇が最も速いことが示された。また, 加熱による水分含量の減少もほとんど見られなかった。 2. 測色を行った結果, いずれの加熱法も無彩色を示し, AQG加熱と茹で加熱, 茹で加熱と蒸し加熱の色差は“人はその差にほとんど気付かない程度”であった。 3. 物性については, 試料中央部の硬さは茹で加熱が最も硬く, AQG加熱は茹で加熱と蒸し加熱の中間であった。またAverage Drop Offについては, 茹でおよび蒸し加熱と比較して有意に値が小さく, すじっぽくないことが示された。 4. 総ビタミンC残存率は, 未加熱試料含有量を100%とするとAQG加熱の場合は95.8%であり, 茹でおよび蒸し加熱と比較して有意に高いことが示された。 5. 総遊離アミノ酸組成について, 甘味を示すアラニン, プロリンおよび旨味を示すグルタミン酸, アスパラギン酸は, AQG加熱では未加熱試料および茹で加熱と比較して有意に多く, 蒸し加熱とは同等であった。しかし苦味を呈するアルギニンについては, AQG加熱よりも蒸し加熱の方が多い結果となった。 6. 官能検査について, 「やわらかさ」「すじっぽさ」に関する質問の回答結果は, 物性の結果と一致しており, AQG加熱は茹で加熱と比較してやわらかく, すじっぽくないという結果であった。「香り」では茹で加熱と比較して良く, 「旨味」については茹で加熱と比較して旨味があり, 「味の総合評価」「総合評価」についても茹で加熱と比較して良いという評価であった。蒸し加熱とは差は認められなかった。