小豆種皮粉を食品素材として利用する目的で, 小豆粉 (A粉:無精製, B粉:A粉を超音波併用の蒸留水15分間処理, C粉:A粉を蒸留水で16時間浸漬) を蒸カステラ調製に, さらに蒟蒻ゲルを置換した製品調製に利用し, 各製品の性状, 食味特性と保存性に及ぼす影響を研究した。 (1) 蒸カステラにはA粉, B粉, C粉を小麦粉の20%まで置換できた。 (2) B粉20%添加製品は無添加製品に比べ, 小豆色を帯び,水分量や比容積は大きく, テクスチャー値の硬さは大きく硬いが, 凝集性は小さく砕けやすくなった。官能評価では香り, 総合評価で無添加製品より好まれた。 (3) 蒸カステラSEMによる内部組織観察では, 無添加製品に比べてB粉20%添加製品は大きい空隙を生成したが, B粉20%添加製品に蒟蒻ゲル2.2%置換した製品では, 蒟蒻ゲルが被膜を形成し, 組織へ構造の変化をもたらした。 (4) B粉20%添加製品及び蒟蒻ゲル2.2%置換した製品の保存中における澱粉の老化は無添加製品に比べて抑制され, しかも Aw 値・生菌数が低値を示し, 保存性も多少優れ, 種皮粉と蒟蒻ゲルの添加が蒸カステラの品質を高めた。