清酒の「火落ち」は, 技術の進んだ現在でもみられる古くて新しい問題である。特に近年の多様化の成功例である「生酒」の出荷管理にはミクロフィルター濾過などが利用されているが課題は多い。最近, 火落ちを防止する新しい方法として, 乳酸菌の生産するバクテリオシンであるナイシンおよびアシドシン8912を利用した製造方法も報告されているが, 本稿は清酒製造工程の中で, バクテリオシンを生産し火落ちを防止できる可能性を持つ乳酸菌を米麹より分離した著者らの研究について解説いただいたものである。今後の研究の発展が待たれる。