1) 血圧上昇抑制作用を有することで注目されている機能性成分であるGABAについて, 焼酎粕中に含まれる量を測定した結果, 原料ごとに比較すると, 麦焼酎粕 (麦麹)>麦焼酎粕 (米麹)>泡盛粕>米焼酎粕>芋焼酎粕の順にGABAを多く含んでおり, 13点中, 最大283mg/L, 最少57mg/Lだった。 2) 焼酎粕に豊富に含まれるグルタミン酸を利用して, 麹菌リアクターにより, さらに焼酎粕中GABAを富化させることを試みた。液体培養で得られる麹菌体の菌体結合型グルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) を利用した撹拌槽型連続リアクターについて検討した。 3) YPD液体培地によって得られたペレット状の味噌用麹菌体 (乾燥重量L9g) を低温処理してリアクター (200ml容) に投入し, 10μMピリドキサール5-リン酸を添加した米焼酎粕上澄液 (pH5.5) を4時間通液して連続処理した結果, GABA濃度72mg/Lだった米焼酎粕が, 反応開始60分以降反応終了時まで, リアクター出口では平均480mg/Lに達し, 約7倍に増加した。 4) 米及び麦焼酎粕を培地に用いて液体培養した結果, 麹菌体が良好に生育したばかりでなく, 菌体GAD活1生は, YPD培地による麹菌と比較して約6倍の活性を有していた。この麹菌体 (乾燥重量2.Og) を, 低温による酵素の活性化を行わずにリアクターに使用したところ, GABA240mg/mlを含む麦焼酎粕を, 20分のリアクター滞留時間で終濃度1100mg/Lへと富化することができた。