1. 並行複発酵は4品種の間に大きな違いは見られなかった。 2. 製成酒中の窒素化合物の量と形態は4品種の間に大きな違いが認められ, 原料米のタンパク質組成の違いが大きく影響したものと推論された。 3. 難溶解性タンパク質の多い春陽を使用した製成酒の全窒素量は他の品種の約50%と少なく, タンパク態窒素も少なかった。また, 山田錦は美山錦と比べると溶解した全窒素量はほぼ同じであるが, ペプチド態窒素が多くタンパク態窒素が少なかった。 4. 製成酒中のアミノ酸組成は4品種の間に大きな違いが認められ, 原料米のタンパク質組成の影響が推察された。すなわち, 春陽は全アミノ酸生成量が他品種の約60%と少なく, 尿素サイクルに関連するアミノ酸が少ないという特徴が見られた。5. 一般成分及び香気成分では, 原料米のタンパク質組成の影響は見られなかった。 終わりに, 春陽の玄米を提供していただいた増永寛氏 (ジーンバンク事業による実証圃担当農家) に厚く御礼を申し上げます。