麦味噌におけるフラノン生成機構に関する知見を得るために, 発酵温度の異なる麦味噌の製造試験, 還元糖を加えて加熱した醤油麹培地での酵母の発酵試験, 熟成した麦味噌の酵母による発酵試験を行った。 フラノン, HDMF及びHEMF, の生成には酵母による発酵と共にメイラード反応による着色が重要であった。麦味噌の着色原因物質である還元糖のうち, ヘキソースがHDMFの生成に, ペントースがHEMFの生成にそれぞれ関与していた。熟成した麦味噌の発酵試験から, フラノンはメイラード反応の反応中間体が酵母によって変換されて生成すると考えられた。 これらの結果から, 麦味噌(発酵食品)におけるフラノン生成機構を提案した。