50~150mg/ l の亜硫酸を添加したマスカット・ベリーAブドウマストを発酵させた。50mg/ l の亜硫酸を添加したマストでは添加後1日目に, 100あるいは150mg/ l の亜硫酸を添加したマストでは4日目に遊離亜硫酸は全く検出できなかった。添加亜硫酸量が多いほど, 醸し発酵中のマストの全フェノール, フラボノイド型フェノール, 全色素量は多く, 醸し発酵中のマスト及びワインのワインカラー, カラー・ヒュー, 色素重合体カラー, 及び全色素中の赤に着色した色素の割合もまた添加亜硫酸量によって影響された。しかし, 全色素中の赤に着色した色素の割合を除いて, 50~150mg/ l の亜硫酸を添加したマスト(ワイン)であれば, これらの値のいずれもが第二次発酵中にほぼ同じレベルとなった。 1カ月間瓶詰め貯蔵後, 最も高い全フェノール量, フラボノイド量, ワインカラー及び全色素量を示したのは, 瓶詰め時に約20mg/ l の遊離亜硫酸となるように新たに亜硫酸を添加したワインであり, 約50mg/ l の遊離亜硫酸を含むワインでは, 亜硫酸による色素の脱色などの影響が見られた。また, 瓶詰め後に同じ遊離亜硫酸量を示したワインでも, フェノール量や色素パラメータ値が異なった。これは, 瓶詰め時に存在する遊離亜硫酸だけでなく, 発酵前にマストへ添加した亜硫酸が赤ワインの色調に非常に影響したものと思われる。