返し仕込み法による米焼酎製造技術を普及するために, 球磨地方では最大規模に相当する8, 300 l 醪量で実証試験を行った。得られた結果を以下に要約する。 (1) 掛米を2段掛けすることにより醸酵初期の醪粘度の問題もなく8~9日間で醗酵は終了していた.そして, 9日目の醪を蒸留して得られた製品のアルコール収得歩合は470m l /kgと高い値であった。 (2) 製造された製品は, 蒸留直後にはアセトアルデヒド濃度および製品酸度が高かったが, 約10日間の貯蔵により両成分ともに減少し, 落ち着きを見せた。また, この製品は官能試験において従来法で得られた製品よりも高い評価を得た。 本研究の遂行にあたりご指導, ご助言を賜りました熊本国税局鑑定官室長嶋崎孝行氏, 主任鑑定官木曽邦明氏および鑑定官室の諸氏に厚く御礼申し上げます。なお, 本研究は日本酒造組合と球磨焼酎酒造組合, 熊本大学工学部物質生命化学科との共同研究で実施したものである。