清酒酵母などの実用酵母の育種に突然変異を利用した場合, 目的の形質や機能を有する変異株が得られても, 親株に比べ発酵力が劣ることが多い。筆者らは, 抗真菌剤のクロトリマゾールに対して耐性となった変異株の中に, 親株に比べ発酵性が向上している株が存在していることを見いだし, 分離株を用いた淡麗純米酒の開発に成功した。この技術を利用し, これまで分離していた変異育種株から, 発酵性の優良な株を分離できることを示した。さらに, クロトリマゾール耐性が多剤耐性と関連していることを明らかにした。これらの一連の研究について解説していただいた。