耐塩性キラー酵母 Debaryomyces hansenii TK-5のキラートキシンの生産性と安定性の向上を検討した結果, 以下のような知見が得られた。 1. 食塩添加YM培地に塩化カリウム, リン酸2水素カリウム, 塩化マグネシウム, 塩化カルシウムを添加し培養することにより, キラートキシンの活性が上昇することが認められた。特に塩化カリウム200mMの添加により, 活性が8倍程度上昇することが認められた。 2. キラートキシンの安定化には, 糖, 糖アルコール, 硫安, 塩化ナトリウムの添加が効果があり, 熱安定性の向上には20~50%のイノシトール, pH安定性の向上には30%飽和の硫安の添加で顕著な効果が認められた。 3. アルギニン, ヒスチジン, グルタミン酸の添加により, キラートキシンの活性は低下した。