平成2年度の醤油・味噌ならびに-L-グルタミン酸および核酸発酵の研究の推移と内容をみると, まさに一服の状態という感がしないでもない。しかし, 20世紀後半の日本の科学技術発展の大きな礎のひとつとなったと自負できるアミノ酸・核酸発酵技術や醤油・味噌醸造技術の研究が一段落し, 今新たにニューバイオテクノロジーへの「関」を越えようと足踏みを行っている時期と考えることもできよう。 醤油・味噌関係でのバイオリアクターや膜処理技術の研究, さらにグルタミン酸および核酸発酵関係を含めての遺伝子組換え技術の応用とその成果の一部が, いよいよ現実のものとして現われてきているが, 一方これらを受容できる社会構築への研究も今後必要となろう。 古くより, 良き研究テーマは現場にありとも言われているが, 貴重な製造経験をいかした新しい研究や研究開発の発展・成功を期待したい。