味噌の理化学的分析値はこれまでに数多く発表されてきたが, それらの値と味噌の品質, 特に香りや味との関連を簡明に示す手段はなかった。そこで, 香味の評価は専ら官能的評価に頼らざるを得なかったわけであるが, 多分に主観を混じえたものよりは, 客観的評価に置換えた方が, 味噌の品質管理, 品質改良, 新製品開発などでは有利であることは明らかである。最近は, この分野の研究にNMRなどの機器分析手法が導入され, さらにデータの解析にも多変量分析法などが用いられて, かなりの進歩が認められている。食品の中でも最も困難と見られる味噌について解説する。