火落菌の細胞壁テイコ酸に及ぼすエタノールの影響を検討し, 次の結果を得た。 1)細胞壁テイコ酸の構成糖アルコールは火落性乳酸菌H34, H7,真性火落菌H1, S33ともにグリセロールであった。構成還元糖として火落性乳酸菌, 真性火落菌ともにグルコース, ラムノースが存在したが, この他に真性火落菌S33にはガラクトスも存在した。構成アミノ糖は火落性乳酸菌のみに存在しており, ガラグトサミンはH34,H7に, グルコサミンはH7に存在した。構成アミノ酸としてホモ発酵型の火落性乳酸菌H7, 真性火落菌S33にアラニンが存在した。細胞壁テイコ酸の分子量は火落性乳酸菌H34は45, 000, H7は17, 000, 真性火落菌H1は17, 000, S33は45, 000はであった。エタノール無添加,添加区の火落菌細胞壁テイコ酸の組成・分子量はともに同一であることより, 細胞壁テイコ酸にエタノールは影響しないと考えられた。 2)トリクロール酢酸で抽出される細胞壁多糖体として各菌株よりグルコース,フコースを単一な構成糖とする多糖体を認めた。その他,火落性乳酸菌ヘテロ発酵型にはマンノースを構成糖とする多糖体も認めた。