本格焼酎醸造に適したソバ原料製造法を検討した結果, 以下の知見が得られた。 1) ソバを製粉・配合したソバ粉を用い, エクストルーダーでデンプンを糊化させることにより, 形状安定性に優れ, 製麹に適したソバ粉造粒体を作製することができた。 2) ソバ粉造粒体を麹原料として用いる事で, ソバグリッツより破精廻りが良好なソバ麹を得る事ができた。 3) エクストルーダーを用い, 製麹に適した物性を有するソバ粉造粒体を作製する際には, デンプン含有量が最も重要な要素であることが示唆された。 4) エクストルーダーで造粒することで, 通常の蒸煮処理よりも効率的にデンプンを糊化できることが確認された。 5) 表層粉を多く含むソバ粉造粒体ほど破精廻りが良好であり, タンパク質含有量, およびリン酸含有量の増加に起因する可能性が示唆された。 6) ソバ粉の配合を変えることで, AAaseおよびAPase活性に大きな差が生じ, 任意にこれらの酵素活性が異なる麹を作製することが可能となった。 本研究の結果, ソバ粉を任意に配合し, 成分調整を行うことで, より製麹に適したソバ粉造粒体を作製でき, さらに, ソバ粉造粒体を掛原料として使用することにより, 目的に応じた香味を任意に酒類に付与することが可能となった。なお, 本研究の成果は特許出願中である。