1) 総米500kgの規模で普通麹仕込と, 初添のみに麹を使用した酵素剤仕込で清酒醪を立てた。酵素仕込に於てはα-アミラーゼ剤添加は80g (力価として120U/白米g) と一定にし, グルコアミラーゼ剤添加を80,120,1609 (力価として13, 19.5, 26991ucose生成/hr/白米kg) と3段階に変えて3本の醪を仕込んだ。 2) ボーメの切れは麹仕込のものが一番早く, グルコアミラーゼレベルの一番高い酵素剤仕込のものがこれに次ぎ, 酵素剤仕込の他の2者が遅く, 両者殆んど同じようであった。 3) アルコール生成速度は麹仕込のものが一番早く, グルコアミラーゼレベルの一番低い酵素剤仕込のものが一番遅く, 酵素剤仕込の他の2者はその中間にあり, 両者殆んど同じであった。 4) 残存グルコース量は麹仕込とグルコアミラーゼレベルの一番低い酵素剤仕込のものが減少の一途を辿ったが, 他の酵素剤仕込のものでは一旦減少してから, 再び上昇し, 醪後半に到ってまた減少していた。 5) 醪中の酵母数は4者殆んど変らず, 粕歩合はグルコースレベルの一番高い酵素剤仕込のものが20%と低いほかは, 3者とも30%前後と殆んど同じであった。 6) 醪中での全グルコース生成速度から見ても, グルコアミラーゼレベルの一番低い酵素剤仕込の醪では, グルコース生成速度が発酵の律速となっているものと考えられた。