(1) 麹の褐変性と製麹条件および製麹工程ならびに出麹のpHとの関係について調査した。 (2) その結果, 製麹条件では種麹菌の種類による影響が大きく, 清酒醸造における黒粕の主原因は使用した種麹菌の性質によるものと考えられる。 (3) 製麹中の条件で麹の褐変性に関係のある要因としては麹の湿度, 温度が考えられ, 乾燥麹は褐変し易く, また温度の高い方が褐変し易い。その他麹の褐変性は麹米の品種, 産地, 精米歩合, 浸漬時間および蒸きょう時間とは関係がない。 (4) 麹の褐変性と製麹中および出麹のpHとの関係は少ない。すなわち製麹中のpHの範囲では麹の褐変性との直接関係は少なく, むしろ麹の褐変性の有無は製麹中のpHの範囲では種麹菌の菌株によるところが大である。