しょう油の価格は清酒と同様にその全生産量が僅かしか伸びていない状態が10年間くらいつづいている。しかるに原料の高騰ならびに企業内人件費の年毎のべースアップ, 加えて輸送運賃の騰貴等原価に及ぼす諸要素が立ちならんでいるとき, これを企業経営によって内部で吸収する余地はない。そこで販売価格のやむを得ざる改訂となるのである。しかるに業界が結束して謀議することは独禁法によりかたく禁じられている。それゆえ一般業者はトップメーカーの改訂の模様をみて, それ相応の値上げをしてゆくわけである。そこで公開されている有価証券報告書を些細に検討して, どのような経営状態のとき大企業はどれだけの価格改訂をするかをしらべてみた。一般しょう油業者にとっては見逃せない好論文であると信ずる。