吸水の制御調節に重要な役割を果していると推定される米粒細胞内における膜系の性質を知る目的で, 吸水率を指標として検討を行なった。 (1) 精米歩合が低下するほど白米の水分含量が減少し, 吸水率が増加する傾向がみられた。 (2) 浸漬ならびに蒸し吸水率の高いものは, 浸漬された蒸米でも異常に多くの水分を吸収し, 腹部の崩壊の著しいものが増加する傾向がみられた。 (3) 異常吸水を示す標品でも, 白米の紫外線照射処理および簾糖, 食塩水に浸漬することによって, 吸水速度がおくれ, その率も低下し, 潜在腹白的性格を示さなかった。 (4) 紫外線による処理効果はその時間に比例し, 食塩水ではその濃度による影響は比較的に少ないが, 簾糖液では濃度がたかまるほど顕著に吸水率が低下する傾向を示した。 (5) 玄米が古米化すると, 背・腹両部の水分含量が平均化され, 異常吸水が正常に復することが'明らかにされた。 (6) 白米のacetone処理によって吸水性が増加し, 著しく結合力が弱められることから, 脂肪が吸水性の制御調節ならびに米粒組織の構成上主要な役割を果していることがうかがわれた.