品質管理の立場より, 麹の力価を知る必要性が強く叫ばれる今日, 工場現場等で簡便に測定し得る方法として, Formol滴定法に着目し, 幾つかの検討を行なってみた。 本法によれば, 酵素濃度と滴定値との間には広範囲な比例的関係は認められない。そこで種々の検討を行なったところ, Folin unitが酵素濃度と完全に比例関係にある点に着目し, ある範囲, 即ち0<Δcc<7.00 (Milk Casein), 0<Δcc<4.30 (Gelatine) ならば本法とFolin法との間に極めて高い相関性があることを認めた。そこで長野県下各地の味噌用米麹につき両法による力価測定を行なった結果, Milk Caseinを基質とした場合, γ=0.985, 同様Gelatineにおいてγ=0.961で高度 (有意水準1%) に有意な結果が得られ, 本法の実施可能なことが判った。