早期栽培米の異常性をあきらかにする目的で, デソプン粒子およびその粒子間物質に顕微鏡的な検討を加えた結果, 次の事実を知った。 (1) デンプン粒は直径5~6μ程度の五角錘台の結晶構造を有する。 (2) デンプン粒はレシチンよりなる膜で被覆されている。 (3) Cの腹部生デンプソ粒は, Dのそれに比べて亀裂がみられるものが多く, 蒸されたデンプン粒でも結晶構造が失われて崩壊したものもみうけられた。 (4) 蒸し米腹部切片のタカジアスターゼによる消化試験では, CはDに比べて著しく早く分解された。 (5) 米エキスは乾燥するにつれて規則的な構造をとり, 磁気に感応し, 電気的な現象が観察され, その結合反応は紫外線照射によって促進された。 (6) 米エキスの乾燥度が進行すると, 透明なガラス状となりEosinによく染色され, 面の直角方向から入射する光を強く反射する性質を示した。 (7) デソプン粒は急乾燥されると容易に崩壊する。 (8) 早期栽培米の蒸し吸水率がたかい一因として, 米粒の急乾燥が原因して, デンプン粒に亀裂を生じ, 過剰の水を含んで蒸されるためであろうと推論した。 (9) 早期栽培米の腹部において好塩基性物質が水分と共に移動する過程で, それがもつ塩類イオソをデンプン細胞層に置き去りにするため局部的にその濃度がたかまり, デンプン粒に大きな影響をあたえる可能性を示した。