前報に引続いて早期栽培米ハツニシキの示す異常吸水性について実験室規模で検討を試みた。 (1) 産米地区及び精米温度と吸水率との関係は, 前報で示した現場試験の結果と類似する傾向がみられた。 (2) 蒸し吸水率に関しては, 時間的に著しい変動がみられた。 (3) 手振水切浸漬と遠心水切浸漬の蒸し吸水率に及ぼす影響について検討した。吸水真値とみなされる後者の場合には, 高温精米を除いては, Dに類似する傾向が認められた。 (4) 一般に米粒の水分が減少するにつれて, 吸水率が増大する傾向を認めた。 (5) 精米等の温度処理によって, 米粒内部での水分移動と, 表層部よりの蒸散が行われる可能性を示した。 (6) 米粒の腹部と背部について, 水分含量, 吸水率に著しい差異を認めた。 (7) これらの事実より, 米粒の背部と腹部との不均一性にもとついて生ずる胴割れが, 異常吸水の1つの原因となることを推論した。