早期栽培米の吸水異常性の究明を主目的として, 38BYにおいては品種に重点をおき, 40BYでは栽培地域を重視し, 主として栽培履歴のあきらかな品種ハツエシキについて吸水試験を試みた。 1.38BYにおける吸水試験結果では, 平野部産の全品種が精米温度に対応して, 浸漬による吸水速度が早く, 吸水率も高い値を示し, 早生系ほどその傾向が著しく, 代表品種ハツニシキの蒸し試験でも異常にたかい吸水傾向がみられたが, 対照として供試した山間部および岩手県産ハツニシキと山形県内陸産オートリは, 前者に比較し, その速度もおそく時間的に直線的な吸水経過を示し, 吸水率も低い値がみられた。 2.40BYにおける品種ハツニシキの吸水試験結果では山間部は低く, 準山間部, 平野部は高い値がみられたが, 全体として38BYC地区産米と同様に精米温度と対応して吸水率が増加する傾向を示した。対照として供試した岩手県産ハツニシキは38BY同様, 安定した吸水傾向がみられた。 3.酒造好適米の代表として供試した山田錦は, 40BYでは38BYに比較して, 時間的な増減変動が大きく, 精米温度とよく対応して吸水率が増加し, またその値もたかかった。 4.通常浸漬米の吸水過程は, 米粒表層部より比較的平均に吸水膨脹し, 各組織相互に影響を与えながら, 浸透によって吸水すると考えられるが, 異常な吸水経過を示すものは, 胴割れ内部よりの吸水を伴うものとし, その構造の不均一性は, 稔実期の高温によって大きく影響をうけるものであろうと推論した。