変調もろみを薬品によって脱酸した清酒の脱臭のため, ヤシガラ炭を使用した試験の結果, ここで設定した3種の操作ではいずれも2回目までの流出区分までは完全に, それ以後の流出部でも相当に脱臭されている。腐造臭の程度の測定は困難であるが, この場合酸度の減少でほぼ判別がっく。炭素量が多く, 流下速度の遅いもの程, 脱臭, 脱酸の効果は大であるが, 試料区分番号I, IIでの脱酸量を見てもわかるように, 一定の炭素量では流速の差にかかわらず, その吸着する絶対量は一定のようであり, 流速が遅いと豆の色度に見られるように空気との接触による酸化のためか脱色の効果は却って劣るようであり, こうした変調もろみよりの清酒では, いかにきょう正してもそれの単独出荷は行なわぬものと考えられるので実用化する場合は, ある程度の流速で濾過し, 流出部の香味と酸度 (酸度が幾分でも減少している間は脱臭の効果があると考えてよい) により炭素の脱臭力の有無を判別して, 濾過酒を等量位の健全酒との混和によって出荷すれば, ほぼその香味の欠点を指摘されないものと考える。 通常の活性炭素を使用している酒造場であれば, 比較的容易に実施できかっ効果も大であると思われる。