自動電位差滴定装置を使って, 清酒の緩衝作用を検討した。 1.満酒の緩衝作用を強く示す物質はAmberlite IRC-50に吸着されず, IR-120に吸着される区分で, 中性アミノ酸, ペプチッド類と考えられ, IRC-50に吸着される区分即ち塩基性アミノ酸, アミン類及び, IR-120に吸着されないもの即ち高分子窒素化合物は影響が少ないと推測した。 2.IR-120の流出液の滴定曲線を解析した結果, 構成酸類として, リン酸がpH6~8, クエン酸がpH4~7までの緩衝作用に影響し, これらの酸類の少ない合成清酒のIR-120の流出液は清酒のそれと異っている。 3.アミノ酸類は緩衝作用を示す物質として欠くべからざる因子であるが, 清酒に含有されている量だけ存在していてもpH9附近に肩があり, アミノ酸類だけでは清酒の特長を再現することは不可能である。