清酒醸造の微生物管理の1つとして酒母を純粋に導く具体策は高温糖化であろう。しかし実際に高温糖化の酒母, それを使ったもろみで野生酵母が混入して来た例があるので, 純粋な酒母を確実につくる方法を確立しなければならないと考えて, 糖化中の酵母の死滅について検討した。 糖化温度が53℃ では比較的良好な結果を得たが, 48℃の場合では十分ではなかった。2例にすぎないので断言は出来ないが, 高温糖化には殺菌の目的もあること故, やはり60℃ に近い高温の方が適当と考えられる。ただ純粋性を得るためには糖化温度だけでなく添加酵母の量や活性度, 酒母の濃度 (汲水) 冷却操作や菌学的な管理などを関連ずけて考慮しなければならないと考えられ, 実地にはなお残されている問題であろう。