1.酵母の自己消化によって生成するアミノ酸を清酒および合成酒の濃醇味向上に応用することを目的で酵母の自己消化の条件について, それが酒造過程中に応用できる方法を考慮して予備試験を行った. その結果ある程度酵母が増殖した醗酵もろみにAlcを添加して濃度を急増させてから加水する方法により酵母の自己消化を生起させることが可能であることを認めた。 2.醗酵もろみのAlc濃度より20%程高くなるようAlc添加した場合酵母の染色率増加は急速で, 温度20QC前後で最高速度を示した。 3.Alc添加, 加水後の酵母の消化は, 温度20℃前後においてAlc濃度20%以下で行うのが適当で, Alc35%以上では消化率が著しく劣る. 4.消化速度は酵母の生活力と混在する麹の酵素力に影響されると考えられるので成熟した酵母より若目の酵母を消化することが適当であろう。 終りに臨み終始御指導を賜った当試験場食品醗酵部長長谷川吉郎先生に衷心より謝意を表する。