1. 活性炭素 市販活性炭素は成分上相当差異が認められる。 2. 石綿 市販石綿は鉄分が可成り含まれており, 石綿臭も相当強いので稀塩酸, 水等で精製して使用した方がよい。 3. 酒質, 炭素の種類及び使用量等によつて炭素添加後時間の経過による脱色の状況は同じでなく, 活性炭素の使用量が少い場合は炭素添加後除去するまでの時間の長短によつて脱色の相違があまり大きくなく, 炭素使用量が多くなると添加後最高の脱色率を示すまでの時間が短くなるのではないかと考えられる。 4. 火入時熱酒に炭素を添加した方がよいかどうかを検討した。即ち熱酒に炭素を添加して長く放置したものは常温で使用したものより脱色及び吸着の面では遙かに効果的であるが, 他面炭臭を伴う欠点があるようである。従つて炭臭をより僅少に止めさせるためには炭素の使用効果においては幾分劣るが火入前に常温で活性炭素を適当に使用して濾過しておき, 出荷時に更に必要があれば炭素を使つて希望する程度に手入した方がよいと思われる。 5. 市販活性炭素の性能はそれぞれ相当差異が認められる。 6. 希望する色がどの程度であるかを予めはつきり認識しておき, それぞれの酒質に応じた炭素の使用量を試験して決めることが必要である。 7. びん (缶) 入のものは使用した残品には必ずテープ或は蟻でシールしておいた方がよい。 本試験に色々御指導, 利酒して頂いた上野室長, 赤坂鑑定官, ならびに御多忙のところ利酒していただいた戸田, 津留崎両技師に深謝します。