米焼酎酸の分割蒸溜試験を行い, 各蒸溜区分の成分と品質, 及び各区分を適当に調合した製品の品質を調査した。初溜部, 後溜部は単独では品質劣等であるが, これを調合するとその欠点は目立たなくなる。即ち, 初溜部, 後溜部をカットしても製品品質は向上しなかつた。これは実験に使つた酸の醗酵歩合が特に良かつたためと思われる。後溜部のカットによる利益と損失を計算し, アルコールのロスによる損失の方が, 燃料節約による利益より遙かに大きいので, 後溜部の品質が良好の時, 即ち後溜部を混和しても品質が劣化する心配のない時は, かなりアルコールの低い点迄溜液を採つた方が有利であると結論した。 終に, 御指導, 御鞭韃を戴きました醸造試験所山田所長, 外池技官に深謝致します。また本実験は多くの方々の御厚意によつて行い得たもので, 特に御多忙中寸暇をさいて審査して下さいました審査員の諸氏, 分割蒸溜実施について御援助下さいました熊本国税局鑑定官室熊谷室長, 人吉税務署相沢署長, 山田間税課長, 下原酒税係長に感謝致します。また実験に協力された熊本県球磨郡錦村池辺酒造場及び同場従業員の皆様に御礼申し上げます。