減塩醤油は塩分濃度が9%程度であるので,耐塩性乳酸菌の生育によるガス発生変敗が大きな問題となる。従来,減塩醤油の変敗原因菌はホモ乳酸発酵型のLactobacillus属と知られていたが,種までは同定されていなかった。そこで,著者は16S rDNA配列決定法により, Lactobacillus rennini と初めて同定した。さらに,佃煮変敗菌として,ヘテロ乳酸発酵型の L.fructivorans との比較も行った。従来の微生物検査に耐塩性乳酸菌検査を追加することにより,減塩醤油などの変敗が予知でき,さらに,PCR–DGGE法による製造工程の菌叢解析を行うことにより,変敗菌の有無の予測が期待できることを明らかにした。これらは減塩醤油などの低塩食品の製造に大いに参考となるので,ご一読いただきたい。