ミツバ ( Cryptotaenia japonica Hassk ., 品種先覚) の黄化時での過酸化物の作用を明らかにするため, 貯蔵に伴う過酸化物含量および過酸化水素生成・分解に関与する酵素活性の変化について検討した。 ミツバを25℃貯蔵すると, 貯蔵3日頃から葉の黄化がみられたが2℃貯蔵では貯蔵期間中ほとんど黄化が認められなかった。過酸化水素を含む過酸化物含量は25℃貯蔵に伴い急減したが2℃では徐々に減少がみられ, 急減は生じなかった。過酸化水素生成に関与するグリコレートオキシダーゼとスーパーオキシドジスムターゼ活性の25℃貯蔵に伴う変化をみたところ, グリコレートオキシダーゼは貯蔵後急増し, 黄化に伴い減少した。一方, スーパーオキシドジスムターゼは貯蔵に伴い減少した。過酸化水素分解に関与するペルオキシダーゼとカタラーゼ活性について調べたところ, 両酵素とも25℃貯蔵に伴い減少が認められたが減少程度はカタラーゼでより顕著であった。過酸化水素生成に関与するウリカーゼ, アミノ酸オキシダーゼおよびキサンチンオキシダーゼは, 本研究の測定方法では検出されなかった。 以上の結果より, 25℃貯蔵ではグリコレートオキシダーゼの活性増大にもかかわらず, 過酸化物含量の減少がみられたことから, 過酸化物は酸化過程を通して, 貯蔵ミツバの葉の黄化進行に関与しているものと推察した。