未熟マメ類貯蔵中の糖含量について全糖として測定された報告は多い。ところが糖を分別定量した報告およびデンプン含量を測定した報告は限られている。そこでこれらの点を明らかにするため, エンドウ (むき実用種) '紀州うすい'を20, 15, 10, 5および1℃に貯蔵し, 種子中の糖組成およびデンプン含量の変化について調査した。 種子中の組成糖として, ショ糖, ラフィノースおよびスタキオースが検出された。ショ糖含量は, 10℃以上の処理区では温度が高いほど急速に減少し, 5℃以下の処理区では貯蔵前半に増加した後減少した。ラフィノースおよびスタキオース含量は貯蔵中全処理区で増加した。スタキオースの増加量はラフィノースに比べ多かった。スタキオースは10℃以上の処理区では貯蔵半ばから主要糖になった。全糖に対するRFOの割合は貯蔵中増加した。 デンプン含量は, 10℃以上の処理区では貯蔵開始後2-3日の間に急増した。5℃区では貯蔵10日後から, 1℃区では15日後から含量の増加がみられた。デンプンの増加量は貯蔵温度が低い区ほど多くなった。 以上より, 貯蔵中における種子内の糖類含量の変化は, 発育中の変化様相と類似していた事から, 青果用としての未熟なエンドウの種子は, 収穫後も成熟の進行が継続すると考えられた。また, エンドウ'紀州うすい'では, たとえ貯蔵温度を1℃としても, 長期間にわたる品質保持は困難なように思われた。