本研究は,先行研究の3つの青年・成人期の愛着関係で示された共通項が青年期の同性の友人関係においても認められるのかについて,成人の愛着スタイル,関係内の感情経験,関係への評価の観点から検討を行った。分析対象者は,106組の青年期の友人ペアであった。その結果,愛着次元の関係不安は,回答者本人のネガティブ感情ならびにポジティブ感情と有意な正の相関関係を示していた。親密性回避は,回答者本人のネガティブ感情と有意な正の相関を,関係への評価とは有意な負の相関を,加えて,ポジティブ感情とは有意傾向の負の関連を示していた。また,上記の親密性回避と本人の関係への評価との関連は,本人のポジティブ感情によって媒介されており,これは先行研究の3つの青年・成人期の愛着関係では見られなかった傾向であった。これらの結果について,愛着システムと親和システムの観点から議論を行った。