本研究では大学生613名を対象に質問紙調査を行い,アタッチメントの内的作業モデルと仮想的有能感の関連を検討した。両概念はともに自己の次元と他者の次元の2次元で構成されている。相関分析の結果,(1)自己の次元(“不安”と自尊感情)には負の相関があったが,(2)他者の次元(“回避”と他者軽視傾向)の相関は弱かった。また,類型的な関連については,安定型には自尊型が多く萎縮型,仮想型が少ない,とらわれ型には萎縮型が多く自尊型が少ない,恐れ型には仮想型が多く自尊型が少ないという関連が示された。これらの結果は,アタッチメントスタイルと有能感スタイルが,特に自己の次元において相互に関連することを示している。アタッチメントの内的作業モデルと仮想的有能感の共通性と差異性が示された。