本研究では大学生における動機づけ調整方略尺度を作成し,その尺度の構成概念妥当性と,動機づけ調整方略が学習の持続性と学習の取り組みに与える影響について検討した。まず大学生156名に自由記述の質問紙調査を実施し,動機づけ調整方略尺度を作成した。次に大学生272名に動機づけ調整方略尺度,CAMI (Control, Agency, and Means-Ends Interview),持続性の欠如,学習の取り組みからなる質問紙調査を実施した。探索的因子分析の結果,7つの動機づけ調整方略が明らかにされ,またCAMIとの関連を通してその尺度の一定の構成概念妥当性が確認された。そして重回帰分析を用いて,自律的調整方略,協同方略,成績重視方略が学習の持続性と学習の取り組みに与える影響について検討したところ,自律的調整方略が促進的な影響を,協同方略と成績重視方略が抑制的な影響を示した。これらの結果から,大学生における動機づけ調整方略について議論を行った。