本研究は,高校生を対象として,自己分化度仮説の機序の一端を実証的に説明することを目的として,自己分化度がネガティブライフイベントの嫌悪度に及ぼす影響について検討した。首都圏の高校生1242名を対象として,質問紙法による調査を実施した。共分散構造分析を行った結果,自己分化度は達成領域と対人領域の両領域のネガティブライフイベントの嫌悪度に負の影響を及ぼしていた。これにより,自己分化度が低い者はネガティブライフイベントの影響度が大きくなり,その結果として様々な不適応状態を呈する可能性が高くなる,すなわち,ネガティブライフイベントに対する脆弱性が高くなると考えられた。